2013年4月7日日曜日

連載「ゲーマーのための読書案内」第56回:『1491』_2

。  そう考えると,スペイン人の暴虐ぶりを親王に訴えたラス?カサス神父の『インディアスの破壊についての簡潔な報告』も,もしかしたら別の読み方ができるのかもしれない。この本(報告書)にも「ヨーロッパでも見られない大きな都市が壊滅し,いまは廃墟ばかり」といった記述が頻繁に出てくるのだが,スペイン人が自覚的に行った収奪とは別ラウンドで,伝染病は本当に国々を滅ぼしていったのだから。  話題を戻そう。この本は南北アメリカ大陸にわたって,発掘された遺跡の調査から見えてきた,当時の国家社会とそれぞれの技術水準を紹介,アメリカ史の大枠に新たな視点を提供することを目指している。例えば北米なら,カナダのラブラドル半島近辺にホーデノショーニー部族連合,合衆国柌康赜颏衰ⅴ毳触螗蟛孔暹B合,北西部には数々の狩猟民族,カリフォルニア付近には農耕民族の遺跡が見いだされている。  また,南米についてはタワンスティーユ(→インカ)を中心に,ドラゴンクエスト10 RMT,地伽鹊匦韦蚋膲浃筏郡Δà嵌啶稳丝冥蝠Bっていた文明の規模を検証する。そうした話題の延長で,アマゾンの密林は人間が意図的に果樹を増やしたものである可能性や,野焼きによって維持されていた生態系などにも言及。アメリカ西部開拓の原風景たるバッファローの巨大な群れも,“天敵”である人間の急減で生じた,頭数の異常増加だったと見る,FF14 RMT。  野生のバッファローを絶滅させた人間の営為には,確かに反省すべき点があると考えるべきだが,それ以前とて「正常」だったわけじゃないし,人の手が入っていなかったわけじゃないというのが,本書を貫く重要な視点だ。言われてみれば,そのほうが理性的かもしれない。  本書からさらにゲームに引き付けた話題をピックアップするなら,インカや北米諸部族がしばしばヨーロッパ人を歓迎した理由の部分だろうか。部族間闘争や王権をめぐる争いで,ヨーロッパ人を味方に付けたほうが有利と考えたためという指摘は少なくとも,AoE IIIに出てくる協力的なネイティブアメリカンが,ただただ素朴な「いいひと」だったと考えるよりは説得力がある。  なんというか,世界史の展開はとうてい一握りの有力者の腹づもり(攻めるスペイン,守るインカ)だけで決まるものではなかったし,そこでは誰の意図とも関係なく住民の9割が死滅するようなことも起き得るのだという,シャレにならない経緯が読み取れる。すでにつながってしまった世界,そしてポストコロニアリズムが日々議論を深めている今日では,何か新しい説が発表されるたびにヨーロッパ擁護だとか現地びいきだとかいう,綱引きにもなってしまうわけだが,そうした立場を考える以前に,頭の中の世界地図をまず大きく修正しておく必要がある
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