2013年4月10日水曜日

[CEDEC 2012]現実を編集する技術が,ゲームに新たな進化をもたらす。「Substitutional Reality」が紹介

。現実から断絶した表現をリアルに見せるのは,非常に難しいのである。 視覚と聴覚をハックして現実感を失わせる実験  モーションキャプチャを用いた研究が暗礁に乗り上げたところで,新たな研究のきっかけとなったのが,パノラマカメラの導入だ。これにより,SRの体験が可能になったという。  では,SR技術とは一体どのようなものなのか。まずは実験のセットアップ図を見てみよう。 パノラマカメラを使用すると,360度の視野で映像を録画できる  実験を行うには,あらかじめ部屋の中にパノラマカメラをセットし,360度の視界で映像を撮影しておく。そして実験の本番では,被験者にヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着させて,先ほどパノラマカメラをセットしていたのと同じ目線の位置に座らせる。なお,HMDの前方にはカメラが付いており,このカメラで捉えた映像が被験者の視界に映し出されるという仕組みだ。  実は,このHMDにはモーションセンサーも搭載されているため,パノラマカメラで撮影した「過去の映像」を,被験者の頭の動きに合わせて自然に映し出すことも可能である。実験では,「ライブ映像」と「過去の映像」,これら2種類の映像をシームレスに切り替えながら被験者の視界に映し出していくのだ。  技術的にはそこほど複雑なことをしているわけではなく,似たようなセットアップによる研究の例もすでに存在する。ただ過去の例においては,被験者とカメラの位置を別々の場所に置くことで,「距離」を越えようとしていた。一方,藤井氏の研究では,被験者とカメラを同じ位置に置くことで,「時間」を越えようとしているのだ。  実験の具体的な実験の流れは,以下の通りだ。  藤井氏は,この実験を研究室の内部で約20名,プレス関係者で20から30名ほどを対象に行ったが,ro rmt,被験者は全員騙されたそうだ。ゲーム関係者では,キューエンタテインメントの水口哲也氏が藤井氏の研究室を訪れたことがあるそうだが,藤井氏によると「水口さんは素直な方で,綺麗に騙されていました」という。  このシステムには,(パノラマカメラの仕様上)足元の映像を撮影できず,また過去映像には被験者の体が映り込まないという弱点もある。そのため,実験の前には「手は膝の上に置いて,あまり下は見ないでください」と注意しておくそうだ。  だが,この弱点から生まれた意外な実験結果もある。藤井氏は「現実とは,ドラクエ10 RMT,私たちの脳が作っている」として,SRの実験中に被験者がたまたま手を挙げてしまったときのエピソードを紹介した
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